こんにちは。映像演出家スミスです。
眠ると大抵、夢を見ている。眠りが浅いのだろう。しかも9割が悪夢だ。内容はすっかり忘れているのだけれど、恐怖感だけはびっちりと身体中に張りついている。顔を洗ったり、歯を磨いているうちに全体が日常に戻っていって、すっかり忘れてしまうのだけれど。ところが、ふとした瞬間に奇妙な断片だけが蘇って来ることがある。何の脈絡もない記憶は、僕を不思議な気持ちにさせてくれる。この時の感覚が、音楽と映像の関係性に似ているように思う。
仕事の依頼は突然訪れる。大抵は仕事用の携帯電話が鳴るか、メールが来る。レコード会社の方からの相談の場合もあるし、制作会社のプロデューサーからのオファーもある。ずばり、現在企画中の案件があり、スミスさんに演出をお願いできないかと尋ねられる。基本的にスケジュールが合えば、仕事は受けさせていただく。そうすると楽曲が送られてきて、とりあえず打ち合わせということになる。
今回の依頼は、2作続けてMUSIC VIDEOを作っているばってん少女隊の新曲。さらに過去に演出したことのあるバンド、フレデリックが楽曲提供しているので、依頼が来た。連続で仕事が来ることは本当に嬉しい。アーティストの良さをどんどんと深く掘っていけるし、スタッフとも意思疎通できていることが多いので、演出的にも一歩踏み込んだことができる。反面、プレッシャーもある。ハードルは確実に上がっている。ある意味、新鮮さは薄れてしまっているのだから、より新しい局面を求められることとなる。強みも弱点も知りつつ、企画へとりかかる。両方のアーティストのテイストを知っていることがアドバンテージなのだから、良い具合で盛り込みたい。
過去の作品は、楽曲の内容とは別に、明確なテーマを持って演出している。アイドルの良さは、曲の良さだけで決まるわけではない。音楽を使って、彼女たちの魅力をどう伝えるかが最重要課題なので、時には楽曲の世界観に逆らってでも出すべき魅力がある。
最初の作品「よかよかダンス」のテーマはばってん少女隊の紹介だ。どんなメンバーが何名いて、どんな特徴を持っているか。誰が見ても瞬時にわかるようなものにしたい。地域性、音楽性、キャラクターの面白さをぎゅうぎゅうに詰め込む。二作目は「かわいい」を前面に押し出した。バレンタインをテーマにした楽曲だったということもあり、彼女たちの持っている世界を、曲のテーマであるバレンタインに重ねていく。そうすることでばってん少女隊特有のアイドル性をアピールした。
そして今回、テーマは「脱かわいい」。今までの二作で彼女たちの天性のアイドル的魅力は十分に表現できた。この作品は、彼女たちが表現しているものにしたい。単なるアイドルでは終わらない魅力。さらに楽曲提供してくれたフレデリックの魅力もプラスすることによって、映像的にもマッシュアップの面白さを狙う。
何にせよ、まだやっていないことをやるというのは、好奇心が最も刺激されて、とても楽しい。この仕事の醍醐味である。次回につづく。
さて、今回の質問です。
言われて一番嬉しい褒め言葉は?(匿名年齢性別不詳)
「意外!」ですね。とにかく人の感覚を裏切りたいんです。思ってもいない方向から感覚に訴えたい。らしくないけど、良いものができるのが最高です。
人生、仕事、恋愛、くだらない質問まで、どんなことでも相談にのります。質問は、twitter:@smith0204へ、性別年齢ハンドルネームをそえて、お願いします。是非。
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