TIMEが報道し、大きな反響を呼んでいる中国のテレビ番組などからの、ヒップホップ排除問題。
ではなぜ突然中国当局が、今回の要求を行う事態になったのだろうか。それにはあるラッパーの炎上事件が背景にあった。
そのラッパーとはPG One。彼はリアリティ番組『The Rap of China』に出場し、優勝し、中国のSNS微博(weibo)ではフォロワー400万人を超える、人気ラッパーだ。
現在24歳のPG Oneは、今年の年始に女優で既婚者の李小璐との不倫報道が出たことがきっかけで、2015年にリリースした楽曲”Christmas Eve”の歌詞が、薬物使用を疑わせ、さらに女性蔑視的であるとして大きな批判を浴びてしまったのだ。
PG Oneに対しては中国唯一の公式な全国婦女組合連合である中華全国婦女連合会の機関紙が、SNS上でPG Oneの歌詞を「若者の薬物使用を先導し、女性を公然と侮辱する」ものとして批判した。
それに対してPG OneはSNS上で謝罪し、攻撃的な内容の楽曲の配信を停止し、今後はポジティブなエネルギーを広められるようにすると約束した。
しかしPG Oneは謝罪と同時に彼が若い時からヒップホップ文化と共に成長し、ブラックミュージックに大きな影響を受けたことを明かしたことで、さらに大きな批判を浴びる羽目になってしまった。
ブラックミュージックの影響と女性差別的な歌詞を結びつけるのは人種差別的であるとしてPG Oneは、メディアからも下品であると宣告を受け、自身が出演していた番組を降板することになったのだ。
このPG Oneの騒動をきっかけとして、当局はメディアからのヒップホップの排除をスタート、GAIやVaVaなどのレギュラー番組の出演がキャンセルとなった。
それに対してHigher BrothersのメンバーであるMasiweiが出演している清涼飲料のCMは、現在も放送中のようで、特定のラッパーに対する規制となっているという見方もあるようだ。
ただし当局の判断次第では一気にメディア上の規制が進む可能性も残っている。今後も状況を注視していきたい。
情報提供 @ymw0412
Source: FNMNL フェノメナル