喫茶店やファミリーレストランに一人で居る事が好きだ。
大抵イヤフォンをしているが、音楽が途切れた瞬間に聞こえてくる隣の席の人の話が気になって仕方ない事がある。
その土地柄が出るような気もしている。
わたしの生まれ育った地域はど田舎なので、夜中のファミレスではパート終わりの主婦が勤務先の工場への不満をぶちまけていたりする。シフトがどうの、工場長がどうの。
それが新宿や渋谷など大都会だと様変わりする。
大都会に気張らず生きている人、大都会にこれから馴染もうとしている人が混ざり合っている。
そんな土地ではよく「ねずみ講、マルチ勧誘」が行われている。
「謎の書類」、友達ではないであろう風貌の違う組み合わせ、最後に「サインと判子」。
この間隣の席に座っていたのは上京したてであろうあか抜けないネルシャツの男の子二人と、決めすぎなくらいのスーツにルイヴィトンの靴を履いた男。凄まじい香水の匂い。
ヴィトン男は「俺らがやってる事ってのは腐らない林檎を売る事なんだ。腐る林檎と、腐らない林檎だったら腐らない林檎の方がいいでしょ?売った方も売られた方もハッピーなの。」と言う。
意味わかんねぇよ。
まず、ハッピーとか普段から口に出す奴は信用出来ない。とわたしは思う。
この話を聞いていたいのでもう一杯アイス珈琲を注文する。
学生男子は「す、、凄いです!」と興奮している。明らかに純粋さが仇となっている。
ふと、中学生の頃にあった出来事を思い出した。
当時、家にかかってきたPTAを偽った電話でクラス全員分の名前と自宅の電話番号を教えてしまった事があり、後日それが個人情報を抜き出す為の詐欺の手口だったと回覧板が回ってきて気付き酷く傷ついたし、母親にこっ酷く怒られた。
それから人に対しての信頼度が低い。
大体を疑ってかかっている。
高校を卒業したての時も一時期、マルチが流行った。
「皆んなで、幸せになりたくない?皆んなで幸せになってお金を手に入れて旅行とかも行きたくない?」
「わたしがお世話になっている人がやってるパーティがあるんだけど、今度六本木でやるの。いろんな人に出会えるよ?こない?」
はい、マルチです。
「お世話になってる人のパーティ」
これは絶対に疑った方がいい。
こういうのだいたいマルチか、正体不明の新興宗教なのでお気をつけください。
塩入リサーチの結果、これで皆んなが幸せになれた事はありません。
幡ヶ谷でやってる友達との飲み会。の方が全然信頼出来る。
他力本願の幸せに未来はない。
わたしは春になるとここ何年か毎年思う。
一人でも多くの若者をマルチ、ねずみ講から救ってあげたい。と。
大学生になったら一発目に必須科目で入れ込んだらどうでしょうか。
ARTIST
塩入冬湖 (FINLANDS)
FINLANDSのVo.Gtとしての活動と並行してソロワークも積極的に行う。
これまで2枚のミニアルバムをリリースし、いずれもタワーレコードでスマッシュヒットを記録。
独特の声とメロディ、歌詞の世界観が話題となり、ソロでのワンマンライブも各地ソールドアウトするなど、
注目が集まってきている。
<Official Website> http://finlands.pepper.jp/fuyuko/
Source: https://sams-up.com/feed/