Instagramに投稿される海外旅行の写真は、同じような場所で同じようなポーズや構図で撮影された写真だらけである。それを証明する動画『Instravel ― A Photogenic Mass Tourism Experience』が公開された。
夏休みなどのシーズンになると大量にInstagramに投稿される海外旅行の写真。いまも一足早く春休みに入った学生たちの、「インスタ映え」する旅行の写真や動画が多く流れてくる。
確かに海外の観光地はフォトジェニックであり、美しい写真が撮れる。「#instatravel」や「#海外旅行」などのハッシュタグを見てみると、異国の地で撮影された誰もが羨む魅力的な写真で溢れかえっている。
アメリカ在住のOliverが作成した動画『Instravel ― A Photogenic Mass Tourism Experience(インスタ旅行・大衆向け観光体験)』は、そんな「インスタ映え」する写真への執着によって人々の独創力が失われていることを証明している。
Instravel – A Photogenic Mass Tourism Experience from Oliver KMIA on Vimeo.
様々な一般人がInstagramに投稿した似た構図の海外旅行の写真を、流れるように繋げたこの動画。旅行するインスタグラマーが義務のように最初に撮るパスポート写真から始まり、飛行機の窓からの景色、そして代表的な人気観光スポットで撮影されたインスタ映え写真が次々と高速に表示される。タージ・マハル、エッフェル塔、マチュピチュ、そして日本の伏見稲荷大社など誰もが同じような写真をインスタに投稿する観光地が選ばれている。
Oliverはローマでの旅行中に観光客の多さにうんざりした経験から、この風刺的なメッセージを込めた動画を作るアイディアが浮かんだとのこと。
「街を歩く人の多さにショックを受けた。自分もその中の一人というのは分かっている。そこにいた全ての観光客たちと同じように、私も何百ガロンの燃料を費やしてそこを訪れ、たったの数日間で慌てて街を巡った」と語るOliver。観光客まみれの街を見るのは嫌気がさすが、皆同じ目的で来ていて、自分もその中の一人であるのだ。
多くの人が旅行中もスマートフォンを覗き込んでいるのをみて、皆本当にその瞬間を楽しんでいるのか疑問に思ったそうだ。「まるでSNSで自慢してフォロワーから「いいね」を貰うことが、旅行の真の目的のようになっている」とOliverは感じたという。
「この大量の写真をInstagramで探している時に、いくつか感動させてくれる本当に才能ある投稿にも出会えた」とも言及しているので、海外旅行写真全てを否定しているわけではないようである。
動画の説明欄の最後にOliverは「良くも悪くもSNSはただのツールである。私はイタリア旅行でトレヴィの泉の写真を撮れなかったので、Instagramに投稿できなかった。それでもイタリアでとてもいい時間が過ごせたよ」とメッセージを記している。
この春休み旅行する予定がある人には、「インスタ映え」に執着せずに旅行を楽しむこと、そして写真を撮る時はオリジナリティ溢れる自分だけの写真を撮ることに是非挑戦してみてほしい。
Source: FNMNL フェノメナル