BAD HOP『Mobb Life』(KSR/発売中)
地元の過酷さや抜け出したい現状を歌うことから、夢込みで金、モノ、女へと軸を移しはじめたトピックにもセカンドステージ感漂う初の正規流通作。ある意味風通しよくなったアルバムにあって、BenjazzyとTiji Jojoがオラオラと場を切り裂く「Handz Up」は、フェイク蹴散らすアルバムの白眉にしてアドレナリンの頂点。トラック、フロウ、ガヤ、リリックがことごとくギラついてて強烈。
Minchanbaby『たぶん絶対』(粗悪興業/発売中)
コンプレックスのどんづまりが行き着く果ては絶望か。MINT改めMinchanbabyの改名後初のアルバムは、自殺願望にまで詞が及ぶ一枚に。前作にあった二次元のオブラートもはがしてくそれは、粗悪ビーツのダークなトラップと相まりドキッとさせるが、ひと皮向けば人なんてそんなもんだろ(違う?)。ラスト「NISHIVI」は、世をはかなむリリシズムの瀬戸際にほんのひとしずく光が見えるような、彼しかできん曲とメロディの極み。
韻踏合組合『王手』(IFK RECORDS/発売中)
キャリア重ねるごとにストレートさ増すラップと90’s色濃い音で織りなす王道感、客演なしの構成で前作を踏襲した9作目。スタイルの変遷をよそに、内なるJたる歌謡や和を取りこんだネタ使いと、ギャグまじりに転がすライミングに一番反応しちゃうのは、オレの偏見込みの韻踏観のせーか。ともあれそれが持ち前の固い韻と合わせて形になる「ハードライム」と「踏んだり蹴ったり」が楽しい。
ライター・Hiroyuki Ichinoki
Source: Abema HIPHOP TIMES