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映像演出家・スミスの人生相談【きょうもスミスがかんがえた Vol.9】スミス、「ロケ」についてかんがえた

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こんにちは。映像演出家スミスです。
企画を考えたりするのに適している時間がある。それは、夕方か早朝。昼の終わりと夜の終わりに、脳みそに何かが垂れてくる。ほんのちょっとの焦りが、今までバラバラだった思考の破片をトロッと溶かして、ぼんやりとしたかたちをつくりだす。それまでの時間が必要なのかどうかは分からないけど、企画はそういう時間を乗り越えてやってくることが多い。仕事をしていて、一番楽しい瞬間です。それまではかなりつらいけど。

企画が出来上がると、演出家はそれを現実に落とし込んでいかなければならない。そんな時、まず頭をよぎるのが、どこで撮影をするかということだ。現実にないものを撮影する場合は、スタジオでセットを組むか、合成用のクロマキー撮影を行う。この場合は、想像の世界を現実に生み出す作業が必要になる。そしてもう一つの方法がロケーションを用いての撮影。簡単にいうと、世の中にある場所で撮影をするということだ。

「女の子が街を歩いている」というカットを撮りたい。ついに頭の中で考えていたことが、現実とぶつかる時が来た。現実の街を完全にコントロールをすることは難しい。広い範囲を封鎖することも中々難しいし、天気だって完全にコントロールはできない。どんな面白いことを計画していても、起きてくる事象になんとか対応していかなければいけない。とにかくロケはリスキーだ。

でもロケが好きだ。想像力を現実に混ぜていく感じがして、いつも見ている風景がちょっと違う世界に変わる。自分が日頃、見ていない世界を作っている気分になる。ロケーションは演出家と視聴者の間の共通の世界になり、そこに一滴の企画を垂らすだけで、本当に面白くなる。

実際ロケーションハンティングをしていて、イメージ通りの場所なんて滅多にない。余計な建物は見えるし、人だって歩いている。しかし、演出家は、その中からアングルを探し出し、カットを重ねることで、また架空のロケ地を構築していっているのだ。

さて、今回の質問です。

 読書の最中寝落ちしてしまうことはありますか?(匿名年齢性別不詳)

はい、よく寝落ちします。作品には申し訳ないんだけど、映画も本もなかなか集中力が続かない。寝落ちる瞬間は、作品世界のまま突入してしまう夢みたいな曖昧な時間が訪れるので、気持ちが良くて結構好きです。本も映画も一時間ぐらいで、何かがやって来て、瞼を降ろしてくれます。

PROFILE

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スミス

武蔵野美術大学卒業後、竹内芸能企画にてミュージックビデオの第一人者である竹内鉄郎に師事。
2000年から演出家として活動し、映像に特化したアーティストを独自の表現で撮り続けてきた。
情熱的なパーティーチューンを得意としながらも、静謐で奇妙な作品も支持されており、動と静の作風を併せ持つ。
近年では、でんぱ組.incの夢眠ねむとの映像ユニット“スミネム”を結成し、活動の幅を広げている。
コレオグラファーとしても活動中。

Web:smith0204.com

Twitter:https://twitter.com/smith0204

Source: https://sams-up.com/feed/

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