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「ダサいアジア人はラップなんてやるな」米ヒップホップシーンで戦う韓国系ラッパーのアツすぎるドキュメント『バッド・ラップ』

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ヒップホップで黒人は差別について歌う。だがヒップホップにおいては黒人がマジョリティであることは言うまでもない。Netflixのドキュメンタリー「バッド・ラップ」は、そんなアメリカのヒップホップシーンで活動する韓国系アメリカ人のラッパーに密着したドキュメントだ。

この作品に登場するのは、ダムファウンデッド(Dumbfoundead)、オークワフィナ(AWKWAFINA)、リリックス、レクスティジーという4人のラッパーたち。ヘッズならばKOHHと共演したダムファウンデッドの名前は知っているかもしれない。

Jessi‚ Microdot‚ Dumbfoundead‚ Lyricks – K.B.B (가위바위보) MV

ダムファウンデッドはドキュメンタリーの女性インタビュアーに「君はアジア人じゃないけど、テレビに出てるアジア系アメリカ人でフ××クしたいと思う奴はいる?」と質問するシーンがある。インタビュアーはすぐに答えることができなかった。一般的なアメリカ人にとって、アジア人はモテないやつ。ダムファウンデッドは「運転がヘタでアソコが小さくて数学が得意ってステレオタイプさ」と語る。

レクスティジーが挑発的なミュージックビデオのアイデアを巡ってマネージャーと対立するシーンがある。マネージャーは「お前、一緒に制作する人のことも考えろ! スローモーションで女の子の尻にケチャップをかけるなんて……。(MVを観た多くの人が)それぞれの要素をくっつけた時“これってスゲー芸術的だ!”って思うはずがないだろ」と、レクスにMVの内容を変えるように説得。それに対してレクスは「何をしたって批判されるのは分かってるじゃないか。俺らはアジア人だから。そんなやつらの意見は気にするな。何でもやって奴らを怒らせよう。他の人がどう思うかなんて知るか。俺がラッパーであることは、みんなの癇にさわるんだから」と食ってかかる。

ダサいアジア人はラップなんてやるな ―― そんな環境で彼らは活動している。ちなみにアジア系にギャングラップが少ないのは「アジア人というだけでリアルに思われない」という差別意識があるからだとドキュメンタリーでは語られている。

一方で女性ラッパー、オークワフィナの活動は非常に興味深いものだ。彼女は女性ラッパーの女性器をディスする曲「My Vag」で名を上げている。ダムファウンデッドは「アジア人のポルノ男優は見かけないけど、アジア系女優はいっぱいいるだろ? ドラマにもアジア系女優はたくさん出演している」と指摘。だが、オークワフィナはそういったイメージを逆手にとってファニーな曲を作ったのだ。

Awkwafina “My Vag” (Official Video)

彼女にはマネージメントのエージェントがついた。アメリカで成功するにはプロモーションエージェントが重要だ。その時点でどんなに無名でも、オフィシャルサイトの連絡先が有名エージェントにつながっていれば、そのアーティストは必ずヒットすると言われている。実際、彼女は下ネタを含むぶっちゃけキャラで徐々に人気が高まり、「オーシャンズ11」の女性版として注目されている映画「オーシャンズ8」の主要キャスト8人の1人として出演することが決まった。ちなみに他の7人は、サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム・カーター、サラ・ポールソン、ミンディ・カリング、リアーナという超ド級のメンバーだ。

ドキュメンタリーの後半では、ドレイクが主催したラップバトルの大会にダムファウンデッドが出演するシーンが収められている。ダムファウンデッドはもともとラップバトルから頭角を現したラッパー。リリックスやレクスティジーらは「アジア系アメリカ人がバトルに出場すること自体がすごい」と語る。ダムファウンデッドは音源制作のためしばらくバトルMCとして活動していなかったが、この大会で5年ぶりに復帰。大会を前にした会見で「誰と対戦したいか?」と記者に聞かれたドレイクは「ダムファウンデッドが楽しみです。数年前から彼に注目していました。大ファンです。彼が復帰してこの大会に参加してくれたことは光栄です」と語っている。

「バッドラップ」の一番の見どころは、当時アメリカで最も人気だったバトルMC・コンシーテッド(CONCEiTED)とダムファウンデッドのバトルだろう。アジア系アメリカ人に対する偏見に満ち溢れたラップで攻撃していくるコンシーテッドに対して、冷静な視点と気の利いた言葉選び、そして抜群のフロウでやり返すダムファウンデッドは同じアジア人として気持ちがいい。このバトルはYouTubeでも観られるが、ぜひ対訳付きの「バッドラップ」内で見てもらいたい。

なおダムファウンデッドはエミネムがプロデュースする映画「Bodied」に出演しているとのこと。日本での公開は未定だが、こちらも大きな話題になることだろう。ちなみに映画のキャッチコピーは「NO RULE, NO RESPECT, NO MERCY(ルールなし、リスペクトなし、容赦なし)」。図らずもダムファウンデッドの活動とシンクロする内容だが、それも彼が変わらず活動を続けてきた賜物だろう。

Bodied Trailer VO

URL: youtu.be

日本でもヒップホップ人気が高まっている今だからこそ、この「バッドラップ」をチェックしてもらいたい。

Source: Abema HIPHOP TIMES

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