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【インタビュー】A$AP P on the Boards | Pのみんなで団結しなきゃ

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5/20に東京・渋谷のWWWとWWW Xで開催されたイベント『Diagonal』にNYからA$AP P on the Boardsが出演していた。ビートメイカーでA$AP Mobのメンバーとしても知られている彼はMobのヒット曲”Bath Salt”のプロデューサーとしても知られている。

ではなぜ彼が『Diagonal』に出演していたのだろうかと疑問に思ったファンもいるかもしれない?その謎が解けたのはPUNPEEのアルバム『MODERN TIMES』がリリースされたときだった。P on the Boardsは6曲目の”Scenario”にビートを提供していたのだ。

FNMNLでは来日時に行っていたP on the Boardsへのインタビューを日本語と英語で同時公開。彼は好きだという手羽先を食べながら、恩人であるA$AP YamsやNYのヒップホップシーンの問題点などを語ってくれた。

取材・構成 : 和田哲郎

通訳 : 渡辺志保

撮影 : 横山純

取材協力 : 平林 “REN” 錬

– 最近はよくLNDN DRGSと一緒にやってますよね。今はG-Funkっぽいムードなんですか?

A$AP P on the Boards – おれがやっているのはG-Funkじゃなくて、P-Funkだ。真似する奴もいるけど、これはおれのオリジナルサウンドだよ。新しいジャンルだ。ウェッサイのサウンドを聴き始めたのはA$AP Yamsの影響だね。Yamsにスタジオに呼ばれたときに、当時のスワッグ・ラップとかリーン・ラップとか特定のジャンルのものは、作りたくなかったんだ。それでオリジナルのスタイルを追求していくようになったよ。あとはワックス(=加工大麻の一種)に誘発されて出来たね。

– Yamsの影響力の大きさって、日本だと伝わりづらいんですが、どういうところが彼はすごかったのでしょうか?

A$AP P on the Boards – Yamsは自分にとって神みたいな存在だね。先生的な存在でもあり、親友でもあり、自分を救ってくれたよ。彼の存在が頭の中から離れることはないね。彼が亡くなって、悪い意味でA$AP Mobには変化があったね。彼のアンテナの高さは凄かったよ、A$AP MobはNYにいるけど、いち早くサウスのPeeWee Longwayとか、Hoodrich Pablo Juanを見つけてきたし、西海岸からJoey Fattsを見つけてきたのもYamsのおかげだよ。おれたちは常に自分で色んなアーティストに注意を払ってYamborgini Universeを維持しなきゃいけないんだ。彼の言ったすべてのことに影響力があったよ。Yamsはラップもしないしビートも作らないけど、センスと頭脳がずば抜けていたんだ。だからみんな彼を慕っていた。彼は『ニンジャ・タートルズ』だと、スプリンターで、『スター・ウォーズ』だとヨーダなんだ、導いてくれるんだよ。Yamsは無名だったLil Uzi VertやPlayboi Cartiを見つけてきたから、彼がいない今はおれもそういうことをしなきゃいけないと思っている。Chief Keefがあれだけ成功したのも、彼をブランディングしてくれる誰かがいたからだし、若いアーティストに親身になりたいっていうのはYamsの影響が大きいね。

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– A$AP P on the Boardsの名前を知ったのは、”Bath Salt”でした。あのトラックはどのようにできたのですか?

A$AP P on the Boards – いいサンプルがないかなと思って、RaekwonかGhostface Killahのアルバムを聴いてたんだ。多分Ghostfaceからだ。おれはDrakeよりも前にWu-Tangをサンプルで使ってるからね。それでサンプリングして、北のビートと南のビートを一緒にしたかったんだ。ダサいビートじゃなくて、クールなやつだよ。最初はNYっぽいビートだったんだけど、サウスっぽくするために808を足したんだ。そのあとにアンティー(=A$AP Ant)がバースを乗せて、ちょうどFlastbush Zombiesが”Thug Waffle”を出して、ブレイクしたから、彼らは友達だし、このコラボで曲を作ったら面白そうかなと思ってできたのが”Bath Salt”なんだ。あの曲のおかげで、ここにいれると思うから、あの曲にはマジ感謝だよ。

– 普段のトラック作りもサンプリングからすることが多いですか?

A$AP P on the Boards – 最近はそんなにサンプリングしてないね。なぜかっていうと”Bath Salt”はミックステープのための曲だから全然いいんだけど、サンプリングは権利問題があるからそれを今は気にしてるんだよね。ぶっちゃけサンプリングした曲の方がヒットするかもしれないけど、アルバムとかだと0から作った方が出版権もちゃんと自分に100%くるからね。だから今はトラック作るときはPCとキーボードの前に座って、自分で作ってるね、サンプリングはヒップホップの基礎だから、今もサンプリングのビートは気にしてるけどね。今やポップシンガーでさえヒップホップのビートで歌ってる時代だから、ヒップホップが全てを凌駕してるよね。よく言われるのはヒップホップが持つネガティブな影響、キッズに悪い影響を与えるとかすごい言われてるよね。けどラップ自体が悪い影響があるわけじゃないよ。Futureは”Mask Off”でモリーとパーコセットと言ってるけど、それは彼の日常を歌ってるだけなんだから、非難するのは間違ってるし、分からない人はそれでいいと思う。ヒップホップはいつだってキラキラ輝いているべきだと思うし、時間がかかってもそこにたどり着くべきだね。”Bath Salt”で100万人のリスナーがついた、そのうちの1000人しかちゃんと理解してなくても、それでいいとおれは思う。ヒップホップでもラップでも呼び方はなんでもいいけどね、雑音とかゴミとか言う人もいるけど、音楽なんだから、そう捉えるのが大事だよ。

– いまのNYのラップのシーンはどう見えていますか?

A$AP P on the Boards – なにも言えないね。今のシーンはリスペクトできないよ。最先端にいる人たちがイケてないんだ。カルチャーとかじゃなくて、誰かと知り合いだから偉いとか、誰々の知り合いだからのし上がれるみたいになってるし、NYのラップラジオ局は本当に強力で、ラジオのパーソナリティーがラッパーより有名だし、権力を持っているんだ。大人が談合してかける曲を決めるんだ。本当にストリートで流行ってるものはかからないよ。ヒップホップのアーティストはラジオよりもSoundCloudの方で知れることの方が多いよ。おれらも携帯でこの曲が流行ってるよねとか情報を回していくけど、ラジオのお偉いさんはわからないんだ。ファックザラジオ。

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– Joey Bada$$もHot97に出演したときに、NYのラジオはイケてないって言ってましたね。

A$AP P on the Boards – 彼は完璧に正しいよ。Bada$$が言うってことは、NYのアーティストはみんなそう思ってるってことだよ。A$AP Rockyもかからないし、Joey Bada$$もかからないなら、なにがかかるんですか?って話だよ。

– ちょっと質問を変えて、これまでセッションをしたラッパーで一番ドープだったラッパーは誰ですか?

A$AP P on the Boards – 一緒にやったラッパーはみんなだよ。ダサいやつとはやらないね。10億円積まれたらダサい曲も作るけど、そんなことはなくて、グレートなやつとしか一緒にやらない。いま注目しているアーティストはKaytranada。Pharrellとコラボした曲を聴かせてもらったらヤバかったよ。あとは一緒に曲をやってる$ha Hefも。あとはMaxo KreamとかJoyce Wriceとも曲をやってるよ。ビートメイカーだと影響を受けたのはAlchemistだよ。あとはClams CasinoとかZaytoven。Zaytovenは天才だね。彼が曲作りに10分以上かけないのは本当だよ、Gucci Maneがめちゃくちゃせっかちなんだ。

– P on the Boardsさんは、ビートを作るのにどれくらいかかりますか?

A$AP P on the Boards – 1時間で5個のビートのアイディアは出てくるね。自分の脳みそがそうやってくれるよ。今日はこういう曲を作ってやろうとかは思わなくて、その時の気分を曲にしてるんだ。おれのその時の気分を知りたかったら曲を聴いたらわかるね。元々漫画を描いてたんだけど、性に合わなくて無理で、ラップを始めたんだ。ラップは上手いんだけど、そこそこレベルで、それでビートを作り始めたら当たったんだ。最初はお父さんが買ってくれたカシオの安いキーボードで、Youtubeで使い方を見て、そのあとはRihannaの”Unfaithful”を耳コピしてたね。別にコードを習ったわけじゃなくて、全部自己流。サンプリングネタがなくてもキーボードさえあれば、なんとかなるね。いまは1人でトラックを作るのは簡単すぎて、アーティストとかとコラボしてトラックを作っていくのが楽しい。一緒にやるアーティストのフィーリングに合わせて曲を作っていくのがいいね。P on the Boardsという名前が全てを表してるね。

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– Ab-Soulとも一緒にセッションをして曲を作ったんですよね。

A$AP P on the Boards – おれはその時婚約者といたんだ。おれが振る舞おうと思って、照り焼きチキンを作ったんだ。Ab-Soulは8時にくる予定だったんだけど、遅れて12時に来たんだ。そこから曲を作ったんだけど、その間Ab-Soulは皿を拭いてくれたよ。ラッパーとビートメイカーには信頼関係が絶対必要だよ、Ab-Soulとおれも信頼しあってるからこそ曲が作れる。大体ラッパーはプロデューサーを信用しないけど、でもそれがうまくいけばいい曲ができる。彼は大げさな言葉を使わないで、自分の言葉でラップして、すごいクールだし、謙虚な人だね。また一緒に作りたいね。

– 東京はどうですか?

A$AP P on the Boards – 色んな期待があったけど、全てがそれを超えてきてるよ。手羽先が最高だよ。あと日本人のDJで2013年にA$AP P on the Boards Mixを作ってくれたDJがいるんだ。名前を忘れちゃったんだけど。

– 日本のPが曲を使う予定なんですよね。

A$AP P on the Boards – 彼のシャウトが欲しいよ、あとあのPって書いてあるTシャツも!Pって名前がつくやつとは一緒にやりたいよ、Puff Daddyも、Pharrellはクールだけど、名前がかぶるんだ。Pのみんなで団結しなきゃ。

– 他に日本人アーティストで知っている人はいますか?

A$AP P on the Boards – ラッパーはわからないけど、シンガーは知ってるよ。宇多田だ。あと『ナルト』の主題歌ね、ガンダムも好きだよ。お台場のガンダム見たかったんだよね。

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Info

A$AP P on the Boards

https://twitter.com/asap_p

https://soundcloud.com/pontheboards

https://www.instagram.com/asvp_p/

次ページにはインタビュー原文を掲載

Source: FNMNL フェノメナル

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