RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017の企画として、11/3に東京・渋谷のWWW XでトラックメイカーのSeihoとDJのokadadaが企画したイベント『AT THE CORNER』が開催される。
このイベントは未知のアーティストやDJに2人が会いたいという動機からスタート。本日から始まった楽曲&DJミックス応募で2人がチョイスしたアーティストがWWW Xの舞台に立つという、新しい試み。
ではそもそも2人はなぜ、この企画を考えつくに至ったのか。FNMNLでは、2人に企画がスタートした経緯や、その背景にあるクラブミュージックシーンの課題などについて聞いた。イベントへの応募についてもインタビューの後に記載したので、チェックしてみてほしい
取材・構成 : 和田哲郎
撮影 : 岩澤高雄(ザ・ボイス)
– そもそも今回の企画は2人が考えたんですよね?
okadada – 前から言ってたんですよ。1年くらい前にSeihoと、そういう企画をやりたいって喋ってて、だからこっち発信でWWWに企画を持っていって、レッドブルもサポートしてくれることになった。でもなんでやろうって言ったんだっけな?
Seiho – 地下一階っていうライブハウスが大阪にあって、僕がそこの3Fに一時期住んでたんですよ。そのときはスタジオを転々としてる時期で、そこで誰でも来ていいよって会を開いて。
okadada – 若い人とか15人くらい来て。ただ機材見たりとか、普通に喋るだけ。
Seiho – その会が終わったあとにokadadaさんと喋ってたんですよ。僕はミュージシャンにとって師弟関係の存在って大きいって、ずっと思っていて。師弟関係でいうと僕の場合は明確に阿木譲っていう人が師匠でいて、もっと薄い関係でいいから、そういう師弟関係みたいなのをできないかなというのを話したんですよね。
okadada – おれは、じゃあおれはトラックメイカーでもないしどうしようかなと思って考えて、多分この話になった。地方に住んでいるDJでも、もっと東京でもやれるのになっていうDJが思い浮かんで。最初はおれとSeihoも出るっていう形だったら、まあそんな大きくないところならなんとかなるでしょっていう話をしてたら、Seihoが「これはでかいところでやらないと意味がない」って言って。
Seiho – ある程度若い段階で、大勢の前でパフォーマンスするっていう経験がないと、トラックの作り方がそもそも変わっていかないし、DJの概念が把握できなくなるっていうか。よくも悪くも上手い人って、小箱で大箱っぽく演出できたり、大箱で小箱っぽく演出できたりするから。あと地方のDJで上手かったら意外とメインの時間にプレイできないっていう現象が多々発生するんですよ。空気が読めるから、オープンとかをやらされがちで。
– 2人にとって若いときに、この場所でできてよかったっていうのはありますか?
okadada – おれは名村造船所のパーティーで、名前も忘れたけどフェスみたいなのがあって、MIGHTY MARSさんに呼ばれて出たときに、「お前めっちゃDJ上手いけど、小さいところでずっとやってたら癖つくから、でかい所出たほうがいいから呼んだ」って言われて。確かに曲の響き方も変わるから、すごいそれは分かるなと思って。この曲かっこいいから、かけたらいいっていうことじゃないねんな、音響とかでこんなに聞こえ方変わるから、そういうのが面白いんだなと思って。
Seiho – 僕はSonarに2年連続で出たのが結構大きかったかな。1年目はプールのところでやって、その頃からUNIT規模の箱でライヴさせてもらえれるようになって、そのあとに2年目のSonarがレーベルショーケースでDAY TRIPPER RECORDSが1日丸々やらしてもらったっていうのが、結構でかかったですね。
– 2人が大きいところでやれるようになったタイミングって、まだいい感じの規模感のパーティーがすごい多かったですよね。ただ以前okadadaくんに、大阪ではEDMの大規模なパーティーか、小箱のパーティーしか選択肢がなくなってしまったっていう話を聞いて、東京も徐々にそうなりつつあるなって思ったんですよね。この企画はそういうものへの危機感もあるかなと思ったんですが。
okadada –大きく見たらそうかもしれないですね。今回はどうやって人に来てもらおうかなって。僕はどんなパーティーかわからなさそうだけど、面白そうだったらそこに絶対行きたいんですけど、でもみんながそう思ってるかというと違いますよね。何が起こるか分かってるほうがいいというか、安心に金を払うのは強いなって。でも、だからこそ逆の需要も発生してるはずなんですよね。なんかもっと面白いものないかな、っていうのを無意識でも求め始めてると思うんですよね。このイベントをやるにあたり、いろんな人に「いいと思ってるあんまりまだ知られてない若いDJっていますか?」って聞いたんですよ。そしたら割とみんな「あえて言うほどはいない」って答えたんですね。それか、もう俺らが知ってるDJが出てきて。でもいないわけないと思ってるから、むしろ「俺らが気づいていないくらいのところにいるんだろうな」と思ってて、それをみたいんですよね。しかもそれを俺だけじゃなくて、みんな思ってるはずだって。少なくとも周りにいる人は、面白いイベントに行きたいって思ってるんじゃないかなって。割と「俺が見たい」っていうのが大きいですね。これって見え方的に、そう見えちゃうかもしれないけど、フックアップでもないんですよ。見えちゃうのはしょうがないけど。
Seiho – でもフックアップっていうよりも、大きい場所でやっていないから、才能に気づけてないだけで、やったら絶対わかると思うんですよね。
okadada – あと今回の候補者のDJたちが何人かいるんですけど、その人たちがお互いに会うのがいいなって思ったんですよね。地方にいる良いDJ同士があったら、良くなるだろうなって。離れたところに住んでるけど、俺からみたら違うけど、いいところが似てる奴ばっかりだし。
Seiho – ロシさんの話良かったですけどね。
okadada –ああ、あと僕は小箱の人にやってほしいのは、当時サオマイの店長だったロシさんに若いときに使ってもらっていて。まだ大学生とかだしみんな知名度も無いからそんなに客も来るわけでもないんですけど、特に客が少なかった日に「今日少なかったですよね、もっと頑張りますわ」ってロシさんに言ったら、「ええねん、ええねん、今日はゲストDJと、あいつが喋ってたやろ、それでええねん、そしたら後々なんかあるから」って言われて。今考えるとそれはマジで大事だった。いま考えるとそんなんやってくれる人って、ほんまおらんのよなって。Seihoとおれらが会ってるのもロシさんが店長やってたNuoohありきなので。人同士を会わせたり、継続的に使っていって育てたりって小さい箱の人にしかできないですからね。
Seiho – 会うっていうのは大事ですよね。
– 若いDJの名前でもなんとなくSNSを通じて知ってますけど、なかなか会ったり、観に行くまではいかないですもんね。あとすごいシーン的なものの細分化が進んでいますよね。
Seiho – この企画早いのかな、区分けされたものを融合させようとする動きは。
okadada – いやでもこの企画は融合させようとはしてないもん。認知の外にいるひとばかりを呼んでるから。あと流れがある人は呼ぶのやめようって言ってるんですよ。
– 流れがあるっていうのは?
okadada –若くてこれからな人でも、場合によってはもう結構見てくれるお客さんとか競演する仲間というか友達の流れがついてるじゃないですか。今回は特に東京とかで、そういう流れの外にいる人たちを呼びたかった。単純に良いアーティストだから呼ぶっていうのはちょっと違うなって。普段外にいる人たちが会うのが大事。「会う」っていうのはキーワードですね。あとお互いに「知る」。それでアーティストを公募しようと思ってて。公募はどうなんですかね?
Seiho – 僕らもそうですけど、ビートメイカーもライブやりはじめるとセットが大きくなって、バンドとやったりとか、でかくなっていくのが、ある程度いききったなと思って。個人的に僕が興味あるのが凝縮して15分くらいのセットで、盛り上げるっていうのに興味があって。自分たちが活動初期にやってたことも含めて、またそこに戻りたいなっていうのはあったんですよね。ライブセットで自分のビートだけで15~20分くらい聴けるなら、ビートメイカーを公募にしちゃって。15分くらいならヤバい奴でも我慢して聴けるなって思ったんですよね。
okadada – 15分は短いなあ。
Seiho –さすがに15分は大げさかもしれないけど、そのくらいの長さだと色んなことに手を出さなくて走りきれるし、聴いてる方も興味が持続するじゃないですか。だって1曲4分で全曲自分の曲で20分なら5曲ですよ。僕はDay Tripper Recordsをやってたときは、すごい数のデモテープをもらってたけど、でも2015年くらいに質が一気に変わったんですよ。極端にDay Tripperぽいサウンドのものしか送られてこなかったんですよ。ほんまにすごいなってなったんですよ。Olive Oilさんに初めて会ったときに、「自分と違うビートメイカーがやっと出てきた」って言ってもらってすごく嬉しかった。それと「Seihoくん、気をつけなきゃいけないのはデモテープたくさんもらうようになるけど、全部自分っぽい音が10年間くらい送られてくるよ」って。僕とOlive Oilさんは歳がほぼ一回り離れてるんですよ。一世代回ってでやっと新しいビートメイカーが出てくる。
okadada – Seihoが30歳だから、もうそろそろ出てくるよね。
Seiho – 僕のエモい話で言うと、高校生のときにAokiさん(Aoki Takamasa)にデモテープ渡してるんですよ。Aokiさんはそのことを完全に忘れてるんですよね。Aokiさんも12個上で、僕が24の時にWOMBで『Out Of Dots』ってイベントがあって、Aokiさんから「めっちゃいいやん」って声かけてもらったんで。その時はAokiさんが36歳なんで、それくらいまでにはあるのかなって。まだ6年あるから長いな(笑)
– レーベルを辞めたのは、さっき言ってたようなことも原因?
Seiho – それもあるし、自分の仕事が忙しくなったのもあるし。一番はDay Tripper Recordsは大阪のINNITってパーティーが起源で、デモテープを持ってきてくれたアーティストはディスカウントで入れて、持ってきてくれた曲を会場でお客さんみんなで聴いて、良かったアーティストにお客さんがスタンプを押すんです。スタンプが多い人が良いっていうわけじゃないんですけど、それを参考にしながら次のゲストアクトを主催のAVVと一緒に決めて毎回パーティーやってたんですよ。毎回、毎回クルーを増やしていくっていうのをやっていて。だから同じ場所でやってるからこそ意思疎通が取りやすかったんですよね。でもこれ以上やると意思疎通が取れないなってなったんですよね。意思疎通が取れてるからこそ、「ここは、こうしたほうがいいんちゃうかな」、「いや、おれはこう思う」って単純にディスカッションが出来てたりしたんですけど、長くやっていくと僕の意見がレーベルの絶対ぽくなっていくんですよね。これは早めに終わらなと思ってたんですよね。
okadada – このイベントどうなるのかな。WWWの名取さんも「エモくなりたい」って言ってたから、「一瞬だけ居れたな」って感じになったらいいな。今日だけおれたなって。
Seiho – どういうこと?怖い、怖い(笑)
okadada – もう同じ人が集まるパーティーは、そうないだろうし。これから長くやる企画でもないだろうし。今日良かったなみたいな。
Seiho – なるほど。でも僕は結果逆になると思うねんな。これがきっかけで会うことが増えてしまうみたいな。
okadada – まあそれが一番良い。
Seiho – 2014~15年って異ジャンルの人とめっちゃ会ってる時期なかったですか?
okadada – おれはもうちょっと前かな。
Seiho – あの時くらいの感じがくるのかなってうっすらと。
okadada – どういう風に見えるかわからないので、わりかしおれらの願望優先ってところはある。全体が良くなったほうが、おれらが得するからってことなんですけど。おれらが全然違う考え方の元気良い人観たいなってなったときに、その人たちはおれらのことあんま興味ないんちゃうかなと。
Seiho – それは僕らもそうでしたからね。
okadada – おれはそうでもなかったけど(笑) 自分が好きな人の事はもちろん見てたよ。他の人には「あの人あんまり知らんけど、有名な人やんな」って感じだったしそれは普通の事だと思うけど、おれらのことをそう思ってる人に、いい人がいるんじゃないかなって。
Seiho – さっきの話と同じで12歳くらい離れたら、両方リスペクトがあるんですけど、6個差くらいだと知ってるけど興味ない世代がいるから。そういう人たちとも会いたいなって。
okadada – 別にへこへこするわけではないけど、せっかくなら会えたほうがいいよなって。おれらもその機会を作れてないから。会いにいってもいないのに、いいDJやアーティストいないっていうのは誠実じゃないから。だから頑張って公募したりとか、地方のいいDJを紹介するのもはっきりやったほうがいいって思いますね。
Seiho – あとはデカいところでやるっていうリスクをとるのも。
– WWW Xですもんね。
okadada – 本当にビビってるんですけどね(笑)Seihoが「WWW Xでしょ?」って言ったとき、ほんま勘弁してほしい、でかすぎるって思ったから。あれである程度人が入って、そういうところで普段やらない人がやってるのは、良いことだと思いますね。
Seiho – だからほんまに来てくれな困るんですよ。
okadada – そうですね。本当に来てくれないと困る。
Seiho – 出演者の子達がどうにかして人が埋まるものではないから、そこはおれらが趣旨を説明して、どんだけ呼べるかってだけだから。ほんまにそれしか頼るもんがないってやばいよね。
okadada – tofubeatsにも説明して、「おれらも出る」って言ったら、「やばいですねえ、背負いますねえ」って言われて(笑)重いって、重いって。でもやらなしょうがないしなって。おれはこれは今年頑張らなきゃいけないことの1つだから。レギュラーやるとかもそうだけど。あとこの話を色んな人にしたら「いいやん」って大体言われるんですよ。「あ、そんなんやるの」って。
– いいとは思っても、なかなかやれないものってことですよね。
okadada – そう言ってくれたなら、来てなって感じなんですけど(笑)
Seiho – とりあえず30代以上の人は来てほしい。逆に20代の子らは、初めて会う人がたくさんいるはずだから。今は出演者が膠着状態だからこそ、どこ行っても会う人が同じやったり、ライブ行っても誰とも話さずに帰るみたいな感じになってるから。クラブに行く人は、ほぼ同じラインナップで膠着状態になってるし、ライブに行く人は誰とも交わることなく帰るって極端になってて。お客さん同士が偶然会うのも大事かなって。これはもうちょっと仕組みとして上手くやりたいですよね。
okadada – 演出したとしてもどこまでできるねんって話なんですけど、少しでも促進できたほうが。
Seiho – タイムテーブルの組み方でも全然変わるじゃないですか。上手く話せる時間を作るみたいな。
okadada – 結局おれらが得だから。
Seiho – 理想はそうですよね、3年後くらいにあのときのイベント行ってたって話を聞けたら嬉しい。公募通らなかったアーティスト同士のコミュニケーションの場を作ってあげたいですね。
okadada –継続していくものじゃないから、何かのきっかけになってくれたらいいなって。最初にイベントの名前をどうしようってなったときに『I Wanna Know You』って言ったんですよ。それくらいクサいというか直線的な名前がいいなって。そのタイトルは諸事情で使えなくて、『ATC(At The Corner)』になったんですよね、象徴じゃなくて場所っぽい感じにしようって。あの角とか、コンビニ前とか、待ち合わせ場所くらいなイメージで。あと杞憂だったらいいんですけど、みんなどこに集まってるの?って気持ちもあるので。
Seiho – このイベントを何かの象徴にはしたくなかった。これからくる流れのシンボルじゃなくて、ただ一回みんなで今こんな感じっていう状況を説明しておく。あとは解散みたいな。
okadada – 地方におって、新しい音楽も昔の音楽も聴いている人は膠着してるとは思ってないと思うんですよ。おれがそうだったんですけど。そういう感覚が良い方向に向かうんじゃないかなって思いますね。膠着してると思ってるのは実は都会の人だけで。本当にだからそういう人に会いにいきたい。公募ですごい地方の人が出ることになったら、イベントの前に2人で会いに行きたいって話になってて。重ねていうとフックアップでもオーディションでもないんですよ。
Seiho – 自分たちの経験としてそういう経験があって良かったのでって話なので。自分たちがそういう機会を作る歳になったなってことで。
okadada – 色んな人にしてもらったし、時期的にもおれらがその立ち位置でやってみるのも面白い。こっち側から働きかけていくのが一番だなって。
Seiho – クリエイターとかは大丈夫だと思うんですけど、一般のお客さんがどれくらい興味持ってくれるかが一番心配ですね。
okadada – だから会場は100人くらいの規模でええ言うたんじゃ、WWWXはでかいんや!
Seiho – でかければでかいほうが面白い。
okadada –おれらが面白いと思ってることに、普段おれらに興味持ってくれてる人がどれだけ反応するか。でもおれらも出るんで。
Seiho – そうなんですよ。これおれらの世代の同窓会ってやったら簡単なんですよ。そうじゃないってことがポイントなんです。
– でもこのイベントをイベンターじゃなくて、アーティストが名前を出してやるっていうのも、今の東京っぽいのかなと思いましたね。
Seiho – でも一番ケーキを均等に分ける方法として、最期にケーキを選ぶ人間が切り分けたほうが、損したくないから、意地でもケーキを均等に切るみたいな話じゃないですけど、やっぱり僕らがやるからこそ公平になるとは思うんですよね。自分たちが得するためにやることなので。全体が大きくなって、それがなるべく均等になったほうがいい。そこに関しては紳士的に考えたほうが、結果得すると思う。
okadada –このインタビューが出るときに、あんまりお客さんが身構えすぎないようにしたい。言いすぎちゃうとダメだから・・・でもこういうインタビューがないと、何のイベントなんってなるし。
Seiho – じゃあどうしたらいいの?!(笑)
okadada – だから出すしかない。モサい感じになるのは仕方ないからバランスを崩すしかない。
Seiho – ポスター作らないと!ビジュアルで訴えかける。
okadada – おれとSeihoがボクシングの試合みたいにやってるポスターを作ろうかって話をしていて。それもありやな。こういうインタビューでたら、どっかでふざけるしかないから。
Seiho – 難しいイベントだと思っちゃうから、こういう話がでると。
okadada – 難しいこと言ってますけど、そんな難しいDJが出るわけでもないので。
Seiho – さっきまでの話は全部流して、日本から色んな人呼んでパーティーやるってくらいな感じなんですよね。僕はイベント自体は大丈夫だと思いますよ。
okadada – 不安なところは人が来るかと、せっかく来てもらったのに悪いなって感じになりたくない。あとこういうのも歳取ったと思うんですけど、「あいつSeihoさんとokadadaさんがやってるイベントに呼ばれてるやん」って地元でもしなったらいいなって。
Seiho – 公募は本当に集まって欲しい。あとさっき言ったみたいに、やっぱりこういう曲かみたいな曲じゃないほうがいい。ジャンルが多岐に渡ってるほうがいい。送ってくれたら、なるべく真摯にコメントを返すから、ノイズでもなんでも送ってほしい。もちろんEDMでも。Seihoとokadadaだから、こういう感じっていうのはなるべく避けたい。公募してくれるのはもちろんだけど、普通にお客さんとして来て、誰かと話すだけで、全然違うと思う。ビートメイカーで1人でやってる子って、そういうところにいくのも躊躇している子達がいるはずなんですよね。
okadada – そこがムズいところなんですよね。
Seiho – でも今回のイベントはそこに対して間口がめちゃくちゃ広げたいと思ってることはわかってほしい。おれと岡田さんがめちゃくちゃ繋げていくから。「お前ら同い年だから喋り」って。喋ったら楽しいから。意外とみんなできますって、本当に社交的じゃない人は、音楽すら作らないですから。音楽作るってことは誰かに聴かそうと思ってるってことだから。誰かとコミュニケーション取りたくてやってるはず。とりあえず来てくれたら繋げるから。
okadada – 作ってるほうもだし、お客さんもね。どうしたらいいかわからない人って多いはずなんで。でも音楽聴きにくるのも期待があるからじゃないですか。アクシデントは起こらなくてもいいから、どうなるんだろうっていうのは、このイベントはあるはずだから。全体が事故でしかない。
Seiho – 本当は未然に防ぎたかった(笑)
okadada – 事故といっても派手な事故ではないんですけどね。
Seiho – 地味な玉突き事故くらい。
okadada – あ、あ、あ、みたいな。
Seiho – 今年は去年と違って、新しい人に会える年ですからね。
okadada – 膠着したなって、言い出したのが2~3年前だから、そこから頑張らなあかんぞってなった。
Seiho – めっちゃ明確に覚えてますもん、膠着したときのこと。僕の『ABSTRAKTSEX』のリリパの日です。出演陣と来てるお客さんを見て、「あ、ついに止まった」って思ったんですよ。もっというとその1年前のObey Cityとツアー回った日に、「止まるな」って思ったんですよ。出演者が出揃った。あとはこの出演者の組み合わせと競い合ってくしかないから、ああこんだけしかないんかって。2010年から色んな流れがどんどん出てきたのが、そこで止まるなって思ったんですよね。
okadada – Seihoは区切りたがりだから、僕はDJと一緒でグラデーションを描いていくと思ってるから、2013年を境にゆるやかに失速していったと思ってます。徐々にみんな膠着してるって気づき出したと思うんですよね。なんかみんな「面白くないですね」って言い始めてるから、逆にもうすぐやって。そう考えるとこのイベントも今年くらいがちょうどよかったかなって。
Seiho – あとアーティストと話してて、「いま一緒にやりたい人おるん?」って聞くと、今年入ってみんな傾向変わってるんですよね。上向きになってるというか。自分よりもちょっと有名で、違うジャンルの人とやりたい人増えてるなって。これはいい傾向なんですよね。いままでは近しい人とか、もっとマニアックなところにいってたけど。
okadada – 膠着してるっていうのも共通認識になってきてるから。去年はおれは膠着してたって思ったけど、そうじゃないって人が多かったから。
海法 – 自分でイベントをやってても電子音楽系は厳しいなっていうのは、最近はあって。それで今年は主張のないアンビエントが流行っているような。
Seiho – 好きな音楽を共有なんてできないけど、ライブハウスとかクラブはそれを錯覚させる装置だったけど、それが錯覚だってみんな気づいたからアンビエントとかの流れは続くと思う。家でアンビエントを聴くっていうのは、この良さをわかってるのは僕だけなんだなっていう、また別の錯覚に陥る行為だから。
okadada – とりとめてない話をしてしまったけど、本当に人がきて欲しい。内容に関しては自信はあるんで。なんか今の状況がおもろないなって思ってるなら、余計にきて欲しい。物見遊山で見に来てほしいですね。小難しいことやるわけじゃないので。
Seiho – そう、そこがポイント。
okadada – 僕らを信じてほしいですね。
Seiho – 失敗したら100%、僕らのせいになるんで。それは絶対嫌です(笑)
Info
Seihoより
前略。
友よ、まだ見ぬ伴。
互いのうちに秘めるその熱い玉乃光を分かち合い、笑い、泣き、喜びあおうじゃないか。レーベル休止してからデモテープを頂く数はすごく減りました。それでも日々サンクラやバンドキャンプにはたくさんの新しい曲がアップロードされ、新しい表現は変わらず増え続けてます。
僕がアドバイス出来ることなんて、「ずっと作り続けて欲しい」くらいしかないけど、それでも技術的なことも含め一生懸命デモテープ聞かせていただきたいです。
年齢、国籍関係なく多種多様な表現が生まれることために、色々な作り手の人たちとお話しする機会をこうしてオカダダさんと作らせてもらいました。
そして、それが音楽以外の映像、デザイン、ファッション、絵画、詩、あらゆる表現活動をする人、それを身につけ、感じる人とのコミュニケーションの場になればこれ幸いです。
兎に角、WWW Xめっちゃ広いし、オカダダとビビってるから、みんな!めっちゃきて!!!!もう一回いう、みんな、めっちゃきて!!
Okadadaより
このイベントをSeihoと二人で主催することになった最初の発端は、
色んな地方で我々が見た良いDJを東京に集めて、
それぞれを会わせた上でみんなに見てもらおうというものでした。
それが発展して、みんなをもっとたくさんの人たちに見てもらいたい、
そしてまだ会っていない人たちに会いに行く機会にしよう、とこの形になりました。イベンターや箱の人に聞いても、
あまり新しい人が出てきていない、と時々言われます。
でもそれはただ僕たちが気づいていないだけだと思っています。
出てくるのを待つんじゃなくて、僕らの方が作っている人の話を聞きに言って、
そこからさらに育っていくのを見るべきなんじゃないかと思っています。
音楽をやっていくのに話す仲間は大切です。このイベントは人のためと言えば聞こえはいいですが、
結局のところ自分の「面白い音楽をやる人に会いたい」という欲望を叶える為の一歩です。
だからこのイベントはフックアップやケアというものでなく、
ただ僕らが会いに行きます、話しましょう、という事に尽きます。
送っていただいた音源は全て二人で聞かせて頂きますので、遠慮なくお送り下さい。楽曲制作者も、DJも、イベンターも、経営者も、すべての創作活動に携わる方々、もちろんお客さんも、よくわからないけど面白そう、と思っていただけたら是非来て欲しいです。
当日、みんなでお会いしましょう。頼む!キテクレ!!
Source: FNMNL フェノメナル